道新・UHB・AIR-G’
SDGs 共同プロジェクト

■ 三笠市

三笠市の100年後の「ふるさとづくり」の取り組みについて

 三笠市は石炭が発見されたことを契機に開拓され、炭鉱まちとして栄えました。周辺は、プレート運動により地層が垂直に隆起しており、約5,000万年前の地層からは石炭が、約1億年前からの地層からはアンモナイトが産出するのが特徴です。三笠市では、これらの地域資源を活かし、「さあ行こう!一億年時間旅行へ!」をテーマにジオパークとして活動し、観光を軸とした持続可能なまちづくりを目指しています。
 ジオパークを中心とした体験型プログラムを構築し、地域にあるジオ(地形・地質)、エコ(自然・生態系)、ヒト(産業・文化)の要素を結びつけ、ストーリー化を行い、地域の魅力を体験できる着地型観光を展開しています。

ジオパーク活動とSDGsの目標

 SDGsを推進するためには、経済、社会、環境の3つの側面を調和させていく必要があります。ジオパーク活動では、この3つの側面に対応するように、観光を中心とした地域の資源を活かす「地域振興」、持続可能な社会の担い手へ学びの機会を提供する「教育」、ジオ・エコ・ヒトという世界構造の基盤を守る「保全」が活動の柱となっています。

 今回は、主な見学場所と活動について報告します。

■ 教育

市内小中学校での地域科授業

 三笠市では全国に先駆けて小中一貫教育を導入し、学年を越え、地域の歴史や地域資源について学んでいます。
 また、地域を学ぶ地域科授業ではジオパークを活用し、防災教育や地形の成り立ち、まちの歴史など大地のつながりと自分たちの生活を結び付け、自分ごととして知識を落とし込めるような地域教育を実践しています。

川の形成について学ぶ「川の授業」

市外教育旅行での利用

 市外の教育旅行でも北海道の大地の成り立ちや北海道の歴史を学ぶ場として三笠ジオパークは活用されています。

野外博物館

 三笠ジオパークを体感できる1.2㎞の散策路である野外博物館では、炭鉱遺構、石炭層、垂直な地層などが見学でき、地層の成り立ち、プレートの動きなど、実物を見ながら学習することができます。
 また、北海道の大地の成り立ちを学び、北海道開拓の歴史に触れることで、自分の地域や北海道の歴史について考える機会を創出し、自分の地域について学ぶきっかけを与えています。

野外博物館見学の様子
地層について説明(野外博物館)

三笠市立博物館

 アンモナイトなどの化石が約1,000点あり、三笠の地質について学ぶことが出来ます。
 また、北海道開拓の歴史を支えた炭鉱に関する当時の道具や資料、明治期に設置された空知集治監(現在の刑務所)の資料も展示されています。これらの歴史も大地の遺産である石炭によって形成されたものです。この博物館では地域全体を1つのストーリーとして理解することが出来るのが特徴です。

地層について説明(野外博物館)
三笠市の歴史について学ぶ

■ 観光

奔別炭鉱

奔別炭鉱見学

 昭和35年から稼働した奔別炭鉱は高さ約51mもあり、当時は東洋一の立坑櫓と呼ばれ、たくさんの炭鉱労働者が働きました。炭鉱の見学では東洋一の立坑櫓がなぜ立っているのか、日本のエネルギーを支えた炭鉱の隆盛から衰退までの歴史などを、本物を見て肌で感じることができます。
 また、三笠市では炭鉱の最盛期だった昭和30年代には63,000人以上もいた人口が、今では約8,000人にまで減少しています。基幹産業が衰退したまちのありのままの姿から、自分たちの地域の持続的な発展について考えるきっかけにもなります。

鉄道記念館

 三笠市は、北海道の鉄道の歴史がはじまった場所でもあります。採掘された石炭を本州に移出するため、小樽港へ運ぶルートが必要だったことから鉄道が敷設されました。鉄道記念館には明治15年に敷設された北海道初の「幌内鉄道」をはじめとする北海道の鉄道の歴史や、実際に使用されていたSL部品、時刻表、制服や様々な鉄道模型も展示されており、三笠市の歴史を学ぶ上で重要な拠点施設の1つとなっています。
 また、実際に動くSLに乗る貴重な体験もできます。

鉄道記念館展示室

地域資源を楽しむジオツアー

 地域のNPO、ワイナリーなど様々なステークホルダーと連携し、新たなツアーの醸成や幅広いテーマでのツーリズムを展開しています。これらのツアーでは、五感で歴史、文化、地層について楽しみながら学ぶことができます。アクティビティなどを取り入れ、親子を始めとした幅広い層にジオパークを楽しんでいただいています。
 また、何度来ても楽しめるような工夫をし、リピーターを増やし、交流人口の増加による地域活性化も進めています。

化石を観察するツアー参加者
幾春別川でのラフティングの様子

食を通じて学ぶ

 三笠市では食をテーマとしたまちづくりも進めています。三笠ジオパークでは地層を模したそぼろご飯、アンモナイトを模した有頭エビフライなどを楽しめる「ジオ弁」を展開しており、お品書きを見ながら三笠ジオパークでの学びを弁当から振り返ることができます。
 観光分野では特産品開発推進のため、三笠高校生や市内事業者と連携し、三笠産の農産物を使用した加工品の開発に取り組むとともに、市内の魅力的な産品を掘り起こし、三笠市ふるさと納税に返礼品として出品しました。令和3年度には約100品の返礼品を新規掲載しました。このように、食を通じた地域ブランド化をし、地域経済の活性化を進めています。

山﨑ワイナリー
達布地域にあるワイン用のぶどう

■ まとめ

 SDGsとジオパーク活動は親和性が高く、また、SDGsと地域資源の活用も親和性が高いことがわかります。三笠市では、ジオパークを活用した観光を軸として地域資源を活用し、歴史、文化、地層の成り立ちなどを結び付けストーリー化を行い、地域一体に付加価値を付け、地域ブランド化をはかり、今後も持続可能な地域作りを推進して行きます。